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コルクの話(その7)

 今まで、6回にわたってコルクのお話をしてきましたが、
今回はコルクではなく「スクリュー・キャップ」のお話です。

 ワインのつくり手が頭を悩ます問題の一つに
不良コルクによるワインの劣化があります。

 一般に業界で「ブショネ」
(以前コルク臭とも言っていました)と呼ばれる臭いは、
ワインの香りを台無しにする非常に好ましくない臭いを放つ
TCAと呼ばれる成分がワインに入って汚染するために起こるのですが、
一説によるとコルクで栓をされたワインの5%に及ぶと言われています。

 また、コルクが原因で味に何らかの影響を受けたものまで含めると
その数は10%にもなるとか。

        ○      ○      ○

 そんな影響を受けるのは
「伝統にとらわれてコルクを使っているからだ」ということで、
オーストラリアやニュージーランドのつくり手が、
まず「ブショネ」の影響を受けやすい白ワインで
スクリュー・キャップを使い始めました。

 実際に使ってみると密閉性は良くなるし、
良いことばかりなのだそうです。
そこでオーストラリア、ニュージーランドでは白ワインには
スクリュー・キャップを使うことが
あまり特殊ではなくなってきています。

 あと残されたのは赤ワイン。
赤ワインはコルク栓によってうまく熟成が
コントロールされているような気がしますよね。

 それでも赤ワインでもスクリューキャップを使うことが
オーストラリアやニュージーランド国内では一般的となり、
輸出商品についてもだんだん使われるようになってきました。

 同じワインにコルク栓とスクリュー・キャップのものを
2種類作って比較した実験もあり、
その結果コルク栓のほうがスクリュー・キャップより熟成が
速くすすむことがわかったそうです。

 今ではつくり手はワインを瓶詰めした際にビンの口に残る
空気の量を調節して熟成をコントロールするとのこと。

        ○      ○      ○

 品質のことだけを考えると良いことばかりのように思える
スクリュー・キャップですがやはりイメージが最大の敵。

 スクリュー・キャップが一般的になった
オーストラリアやニュージーランド、
そして今ワインの輸入相手国としてオーストラリアがいちばんのイギリスでは
問題なく受け入れられているものの、
アメリカ向けには敢えてコルク栓をして輸出する場合もあるそうです。

 また、スクリュー・キャップだけになってしまうと
ソムリエさんのレストランでの儀式がなくなってしまうということもあり、
それも大きな抵抗勢力とのこと。

        ○      ○      ○

 あなたはスクリュー・キャップをどう思われますか。

by bacchusmarket | 2006-10-10 11:10 | コラム