柏屋1月ワイン会レポート

今日は私、加納伸子が担当です。

2012年1月25日に、柏屋の今年第一回目のワイン会を開催しました。

通常のワイン会と異なりセミナー形式で、講師は、中央葡萄酒の船橋さん。

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長身でロマンスグレーの素敵な営業部長さんです。
語り口調は柔らかく、博識ですが解りやすく、噛み砕いての丁寧な説明に、
ご参加いただいた皆さまは、
一所懸命メモを取りながら、さかんにうなずいていました。

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また、今回は甲州4本、シャルドネ4本を比較テイスティングするので、
通常のワイン会では一人グラス1客で行いますが、
今回はテイスティングするワインの数だけ、
お一人様グラス8客です。

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日本の水は軟水なので、ワインも柔らかな味に仕上がる、とのお話も印象深く
また、「グレイスワイン 今昔ものがたり」 として、
栽培と醸造の取り組み方を説明していただきました。
さらに「ブドウ品種の甲州 と シャルドネの熟成」として、
船橋さんの説明を聞きながら、
垂直試飲(同じワインの異なったヴィンテージを試飲すること)をして、
頭と舌の両方で体感しました。

かなり難しい奥深い内容ですが、緩急つけながら、試飲しながらのワイン会、
和やかに、時折笑い声に包まれながら、あっという間の2時間30分でした。

椅子なしで、 フランスパンのみ
それにもかかわらず、19名の盛況な会になりました。

皆さまのご協力のおかげです。ありがとうございました。

さて、ワイン会の内容は、

甲州 鳥居平畑4本の垂直と シャルドネ 勝沼町菱山地区4本の垂直

お好みのワインだと思ったら手を挙げていただきました。
何回でも手を挙げていただけます。

甲州 5本
1. グレイス甲州 鳥居平畑2010        好き11人
  X字型仕立て棚栽培
  ステンレスタンク醗酵 シュール・リー
  フレッシュな酸で、酢橘を感じる。

2. キュヴェ三澤 甲州 鳥居平畑2006(非売品) 好き7人 
  一文字短梢仕立て棚栽培
  ステンレスタンク醗酵 シュール・リー
  穏やかな酸、柑橘系では、ゆずを感じる。

3. キュヴェ三澤 甲州 鳥居平畑2004(非売品) 好き13人 
  一文字短梢仕立て棚栽培
  ステンレスタンク醗酵 シュール・リー
  ふくよかな印象 酸は落ち着いてきて、柑橘系では、みかんを感じる。

4. キュヴェ三澤 甲州 鳥居平畑2002(非売品) 好き6人 
  一文字短梢仕立て棚栽培
  ステンレスタンク醗酵 シュール・リー
  かなりオレンジがかった色合いで、熟成している。
  しっかりとした酸があり、アルコールも12.6度あり、ボリューム感がある。

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5. 1957 甲州 山梨県勝沼産         好き18人
  雨の多い年で、糖度が足りず砂糖を添加
  色は透明感のある琥珀。しっかりとした熟成香。
  甘味があるので、美味しく飲める。

シャルドネ 4本

6. グレイス シャルドネ2009         好き11人
  北杜市明野町 自社栽培 三澤農場産67% 勝沼町菱山地区 契約農家産33%
  オーク樽醗酵 樽貯蔵 
  柑橘系のフレッシュな酸、グレープフルーツ、白桃などを感じる。
  心地よい酸で、白い花のイメージ。

7. キュヴェ三澤 白2004 (非売品)     好き11人
  勝沼町菱山地区 契約農家産100%
  オーク樽醗酵 樽貯蔵
  ミネラルを感じ、柔らかな伸びのある酸の印象。

8. キュヴェ三澤 白2000 (非売品)     好き10人
  勝沼町菱山地区 契約農家産100%
  オーク樽醗酵 樽貯蔵
  バニラ香が強く残る印象。厚みのあるバランスの良い酸。

9. キュヴェ三澤 白プライベートリザーブ1997(非売品) 好き18人
  勝沼町菱山地区 契約農家産100%
  オーク樽醗酵 樽貯蔵
  トロリとした味わいで、濃厚なカスタード・ブリュレを想像。
  香ばしいキャラメルとバニラ香とボリューム感のある酸を感じ、
  余韻も長くリッチな味わい。

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土壌による味わいの違いの説明もありました。

  鳥居平地区 は、急傾斜により、中世代地層(小仏層)の砂岩、
  頁岩・粘板岩などがスレート状の礫
  となり、この粘土地層が複雑でふくよかな果実味のあるブドウを育てる。

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  勝沼町菱山地区 は、鬢櫛川、田草川による扇状地帯。 
  緩やかな傾斜で、花崗岩質の堆積物と、砂や泥が堆積した複雑な土壌。
  ミネラルで、爽やかなきれいな酸があるブドウが育つ。

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栽培の仕方での味わいの違いも理解できました。

  X字型仕立て棚栽培は、500房〜800房 で、1房500g  約4トンのワインになる

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  一文字短梢仕立て棚栽培は、栽植密度が高くなり、
  1本の樹からの収量が減り、完熟度の高いブドウが育つ。

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甲州ものがたり 「勝沼に残る甲州の歴史的記録」
  
  1592年  「太閤検地」豊臣家への年貢 
        鳥居平に1町4反の畑(約1.4ha)

  1716年  「正徳検地」徳川家への年貢
        岩崎・菱山地区に14町7反3畝8歩(約15ha)

  2010年  国際的な審査機関「葡萄・ワイン国際機構」(OIV 本部パリ)に
        品種登録され、 
        EU輸出向けのワインラベルに甲州ワインと
        表記することができるようになる。
  
講師の船橋さんには、大変お世話になりました。
たくさんの資料をご用意していただき、
また、貴重なワインも試飲させていただきまして、
本当にありがとうございました。

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by bacchusmarket | 2012-01-31 10:01 | イベント

蔵出し(その1)

 2004年8月28日、前日の8月27日に甲府で開催された
第2回国産ワインコンクールの公開テイスティングに出席して、
今まで知らなかった全国各地の国産ワインを知って
日本ワインに新たな可能性を感じていた私は
石和温泉で一夜を明かした後、中央高速の甲斐一宮のバス停で
仲間の乗ったマイクロバスが到着するのを待っていました。

 というのも、メルシャンさんのご好意で、
ワイン造りを最初から最後まで体験させてくださる
プロジェクトの最初のイベント、
桔梗が原の葡萄生育状況視察が行われることになっていたこの日、
新宿集合で出発したマイクロバスに、
このバス停で拾ってもらうことになっていたのです。

 それにしても今から思えばなんとも奇遇、
私が日本ワインに本気で取り組もうと思った翌日に
このようなイベントが開催されたのには、
なんとも運命的なものを感じざるを得ません。

 さて、この日の目的は葡萄の生育状況の視察。
長野県塩尻市桔梗ヶ原のぶどう畑を回ります。
この日の様子は
生育状況視察
に写真日記の形でアップしています。

 私がこの日一番印象的だったのは
実は桔梗ヶ原という地名と
実際の場所とのギャップ。

 長野県にある「桔梗ヶ原」という地名から想像していたのは、
「美ヶ原」と同じような高原地帯に桔梗の群落があり
一面に桔梗の花が咲いているイメージ。

 ところが実際に行ってみると「桔梗ヶ原」というのは
JR塩尻駅から直線距離で1kmも離れていない場所で、
以前はこの一帯がそのように呼ばれていたのかもしれませんが
現在は甲州街道(国道20号)に続く国道19号線の
交差点の名前でしかなかったのです。

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 と言っても、「桔梗ヶ原」交差点の周りは
かなりの比率でぶどう畑になっており、
それはgoogleの地図でも良くわかります。

 東京方面から来て桔梗ヶ原交差点を右折すると、
ちょっと言ったすぐ右側に

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メルシャン前と言うバス停が。
ここはメルシャンの醸造所がかつてあった場所で、
現在は試験農場になっています。

 そしてすぐその先左には井筒ワイン、
その先すぐ右には五一ワインがあり、
この桔梗ヶ原が長野県におけるワインづくりの
中心地であることがわかります。

 さてワインづくりの話を続けます。
一番のメインイベントはぶどうの収穫と仕込み。
それは10月2日に行われました。

 収穫は朝一からしなければならないので、
前日塩尻入りをしてホテルに一泊、
翌朝ぶどう畑へ向かいます。
その時の様子の写真日記はこちら

 そしてなんといっても力が入った仕込み
その中でも特に気合が入ったのは選果です。

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 除梗機によって梗からはずされた葡萄の粒が
ゆっくり飛べるルトコンベアーの上をう動いてくるのですが、
この中から色が悪い粒や、取りきれなかった梗などを取り除いていきます。

 その時のみんなの目の厳しかったこと。
場合によってはベルトコンベアーを止めてまで
仕込みにふさわしくないものを取り除いていきます。

 このときばかりはメルシャンのスタッフも
出来上がるワインの量が減ってしまうのではないかというように
心配そうな目でこの作業を眺めていました。
おそらく、メルシャンの選果よりもはるかに厳しい基準で
選果作業をしていたのでしょう。

 そしてこの葡萄の粒は破砕され、
発酵用の開放桶へポンプで送られます。

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これが桶の中に入った果汁。
赤ワインなので皮や種ごと桶に入っています。
これにお湯で少しふやかした酵母を振り掛けて仕込みは終わり。

 つぎの作業は発酵を助ける作業。
具体的には発酵桶の上に固まった皮や種のかたまり(果帽)を
その下の発酵中のワインと混ぜる作業です。
この作業をする目的は

 1.皮の色素と タンニンをスムーズに抽出するため。
 2.雑菌を増殖させない。

等とのこと。

 一つは櫂突き。
日本酒でも行われている作業ですが
風呂の掻き混ぜ棒のようなもので、
発酵桶の上の果帽を下の発酵中のワインの中に
押し込んで混ぜる方法(ピジャージュ)。

 もう一つは桶の下の蛇口から発酵中のワインから取り出して
ポンプアップして果帽の上から降りかけるもの(ルモンタージュ)。
今回はこちらの方法です。

 これは毎日行わなければならないので、
参加者が当番の日を決めて勝沼まで行って
毎日交代で作業に当たります。

 私が行ったのは10月8日、仕込から6日目です。

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桶の下からこのようにワインを抜いて、

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このように果帽の上から満遍なく降りかけます。
この作業が1日に数回。

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これがその作業をしているところ。
ワインを作っているんだと言う実感がわいてきます。

 その後、澱引き2回

  澱引き1 2005年3月26日
  澱引き2 2005年11月13日

を経て清澄へ。
ワインの中に混じっている不純物を卵の白身を使って取り除く作業です。
その卵がただの卵でない。
メルシャンでは特別な地鶏の卵を使っていました。

 その卵は塩山にある黒富士農場の直売所まで買出しに行きます。

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この卵が美味しいこと。
このイベントの後、私は勝沼へ行った時、時間があれば
必ずここに寄って卵を買って帰るようになりました。

 最初に塩尻の畑へ行ってから約2年半後、
いよいよ瓶詰めの日が訪れました。
それは2006年3月11日。

 まず、コルクに私達のグループの特別な焼印を押します。

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瓶詰めの作業は企業秘密で写真を撮ることができなかったので、
写真はありません。

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こちらが先ほど焼印を押したコルク栓をしたワイン。

 私達が造ったワインは約樽5本分っでしたが
私達の権利があるのはそのうち1本分。
樽1本で、750ml瓶、276本、1500ml瓶6本の瓶詰めをすることができました。
樽1本は225lですので、合計216リットルは大変効率の良い数字。

 収穫;仕込から7年、瓶詰めから5年半後の2011年11月9日、
ようやくそのワインの蔵出しをする機会が訪れました。

 その間に当時のメルシャンの関係者で残っている人が一人になってしまい、
メルシャンがキリンビールの傘下になってしまいと状況が激変してしまって
果たしてあのワインは私のところに本当に来るのかと思っていたとき、
いよいよ蔵出しができると言う朗報が届いたのです。

 そこで蔵出しのための準備が始まりました。
まず、このプロジェクトに関係した人たちが
何本のワインを受け取れるか決めること。

 このプロジェクトはフル参加の人もいれば、
ほんの数回参加しただけの人もいます。

 そこでできたのがExcelの表。
それまでに行われたイベントそれぞれにポイントをつけ、
どのイベントに参加していたかを記入していくと、
自分の取り分のワインの本数がわかるというもの。
フル参加でも上限5本となっています。

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 これが私が提出したExcelの表。
私の場合、出来上がったワインの樽詰め作業に参加しないだけで
ほとんどフル参加なので7本の権利はありますが、上限の5本。
更に夫婦で参加したので10本の取り分となりました。

 蔵出し当日も参加者を募り、それもポイントに加算されます。
10:00頃勝沼のシャトー・メルシャンに到着、
ジェネラルマネージャーの斉藤さんと
チーフワインメーカーの味村さんのお話を聞き
いよいよ作業に取り掛かります。

 蔵出しに必要な作業は法的に必要なラベルを貼ること。

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一般に売られているワインの裏ラベルに記載されている
品名(果実酒)、容量、アルコール度数、添加物、製造者名等です。

 実際の作業は蔵出しのページに。
パレットに載っているワインのコルクには

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私達のワインの照明である焼印が。

その2へ続く)

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by bacchusmarket | 2012-01-24 17:01 | コラム

庫出し(その2)

(まずその1をお読みください) 

 庫出しではシールを張った後、
ボトルに通しナンバーを書きました。

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実際には 276本の750mlボトルを詰めましたが、
試飲その他で少し減ってこの日残っていたのは235本。

 数字の若い100本ほどは今後のイベント用に保存し、
残りを参加者個々の申告に従って配分します。
この時参加できなかったメンバーには宅急便着払いで宅配。

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 こちらが出来上がった荷物。
この荷物をメルシャンの方に発送を託します。
とにかく割れずにそれぞれの方に届いて欲しいという願いがかない、
破損が一切なくメンバーのもとに届けることができました。

 作業は昼過ぎに終わり、
勝沼ぶどう郷駅の近くに新しくできたレストラン、
「パパソロッテ」で、食事をしながら試飲。

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 そして保存用のワインを、JRが使わなくなたトンネルを利用してつくられた

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トンネルカーブに

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このように保管してこの日の全作業を終了。

 それにしても2004年から2011年の長きにわたり、
このプロジェクトを実現してくださったメルシャンの皆様、
ありがとうございました。

 私と妻の取り分合計10本は、
1年に1本ずつ味わいを確かめながら
飲んでいきたいと思います。

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by bacchusmarket | 2012-01-24 17:01 | コラム

日本ワインについて思うこと(その2)

 10日の夕方に「日本ワインについて思うこと」をアップして
先ほどアクセス数を調べてみたら、
10日が116、11日が324で2日間で400以上のアクセス、
なんと昨日はカフェブロのランキングで2位になってしまいました。

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 私は重い内容で長文でもあるので、
アクセス数はあまり多くはないのではないかと思っていたのですが、
今まで書いてきた能天気ブログよりもはるかに多いアクセス数に
びっくり。

 Facebookにおいても「シェア」や「いいね」を多くいただき、
反響が思った以上に大きいことに驚いています。

 私は、この文章を書いて本当に公開して良いものか悩みました。
特に生産者の方々には耳の痛い話も書いているので、
これで取引中止になったらどうしようかということも考えました。

 ただ、今回の文章は
日本ワインが更に飛躍して欲しいと思って書いたものであり、
そのためにはどうしても避けて通れないこととして書いたものです。
今のところ、肯定的な反応がほとんどなので、
正直胸をなでおろしています。

 一朝一夕に解決できる問題ではないと思いますが、
まずは何とか大手メーカーが動き出して欲しいと思う次第です。

 日本ワインを盛り上げたい気持ちについては
アクセスしてくださった方々皆同じだと思いますので、
今年はもっと認知度が上がるようがんばっていきませんか。
よろしくお願いいたします。

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by bacchusmarket | 2012-01-12 18:01 | コラム

日本ワインについて思うこと

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 と言っても、挨拶するほど最近は更新頻度が多くないですね。
書きたいことはたくさんあるのですが、
なかなか書く時間を工面することができなくなってしまったというのが実情です。

 さて、「日本ワイン」という言葉を良く聞くようになってきました。
「国産ワイン」が原料のぶどうや果汁がどこの国のものであっても
日本で瓶などのパッケージに入れられたものを指すのに対して、
「日本ワイン」は日本で採れたぶどうを原料にするワインとのことです。

 私は2002年、
シャトー・メルシャンシリーズのリニューアル(完全日本ぶどう化)時に
メルシャン勝沼ワイナリーの売店改装のお手伝いをしたこと、

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2003年に中央葡萄酒明野農場の植樹に参加した

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頃から日本産ぶどうでできたワインに興味を持ち、
現在に至っています。

 昨年はマスコミへの日本ワインの露出回数も増え、
飲食店、ワインショップ等でも日本ワインに注力するところが
増えてきたのではないかと思います。

 私が日本ワインに興味を持っている理由は、

 1.私が興味を持ち始めた2002年頃から最近にかけて
   日本ワインの品質向上が著しい。

 2.海外のワインと比較して生産者に会うのがたやすい。
   生産者の哲学を日本語で聞くことができる。

 3.日本の水でできたワインは日本の水で作られた料理との相性が良い。

ということで、日本ワインと付き合うことによって、
輸入ワインと異なるワインの楽しみ方をすることができるからです。

 ただ、私が思うには、
日本ワインがブレイクするにはまだ多くのハードルが残っており、
それが大きな障害になっていると思うのです。

 その障害についてちょっと書きたいと思います。

 私が日本ワインがブレイクするためには
今まで輸入ワインを飲んできた人たちが、
日本ワインの美味しさ、楽しさを知る必要があると考えます。

 そのためにはまず日本ワインが
輸入ワインと同じ土俵に立つ必要があるということ。
つまり、

 1.産地表示
   輸入ワインの原産地呼称と同じ考え方でワインをつくったり
   地名表示したりする必要があるということ。
   時々、遠くの産地のぶどうを勝沼等で詰めてそのぶどう産地を
   ラベルに大きく表示したものを見かけます。

   ブルゴーニュのピノ・ノワールをボルドーで醸造し瓶詰めして
   ブルゴーニュと表示するようなこの表示には
   私は著しい違和感を覚えるのですが、
   一般の輸入ワインを飲んでいる消費者たちが
   この表示を見てどう思うのでしょうか。

   また、勝沼の「鳥居平」を名乗るワインの量が、
   実際鳥居平で採れるぶどうの量を上回っているという話も聞かれます。
   産地の名前をつけるのであれば諸外国の基準を見れば、
   最低でも70%以上はその土地のぶどうを使っていて欲しいものです。

 2.ボトルのサイズ
   ワインのレギュラーボトルの国際標準サイズは750ml。
   720mlでは30ml足りず、対等な勝負をしていると言えません。
   価格的に720mlの方が優位に立てるし、
   特にグラス売りをしている飲食店で大きな影響があるでしょう。

 3.価格体系の問題
   ワインは回転率が悪いのは周知のことだと思いますが、
   輸入ワインと比較して日本ワインの利幅は低く抑えられています。
   価格をオープン化した生産者も少しずつ増えているとはいえまだわずか。
   これでは、日本ワインを積極的に扱う流通業者が増えないのは
   当然と言わざるを得ません。

 4.輸入ワインと同じ土俵に立つ意志が感じられない大手メーカー
   これは、最もいらだっている点です。
   大手が同じ土俵に立たないのに、
   中小のつくり手が独自に輸入ワインと戦うには、
   より多くの負担が付きまとうと思われます。

 この4点について、1.は、一部の意識の低い生産者の問題。
ただ、日本版の地名表示基準が
できれば業界全体で作られることが望まれます。
もちろん地名だけでなく、使用ぶどう品種の表示についても同様です。

 2.はかなり750ml瓶の採用が進んでいるので、
更に進むことを望みます。

 特に大手が積極的に750mlのボトルを使うようになれば、
日本においても750mlのボトルをより安価で入手できるようになり、
中小メーカーも750mlボトルを採用しやすい環境に
なるのではないでしょうか。

 3.は難しい問題だとは思いますが、
日本ワインのテイクオフのためには
どうしてもクリアしなければならない点なので
それぞれの生産者の方たちに考えていただければと思います。
これもまず大手がその気にならないことには始まりません。

 そして、日本ワインのテイクオフを邪魔している元凶と考えられるのが、
大手のメーカーたちです。
私がここで言う大手とは、
メルシャン、サッポロビール、サントリー、マンズワインの4社。

 この4社の中で、輸入ワインと何とか同じ土俵に立とうという
意志が感じられるのはメルシャン1社のみ。
シャトー・メルシャンシリーズはすべて750mlのボトル入りで、
価格もオープン化しています。

 あとの3社は、750mlのボトルを採用しているところはあるものの、
地名表示や、価格体系の点でクリアできていません。

 そのうえ、上記1.〜3.を全くクリアしておらず、
日本ワインの小さなお山の大将になれば良いと考えているとしか
思えないのが、

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このワインを出しているメーカー。

 この、ピノ・ノワールは品質において
日本ワイン愛好家に高く評価されていますが、
北海道のぶどうを勝沼で仕込んだのに北海道の大きな地名表示、
参考小売価格も3,000円(税抜)となっており、容量も720ml。

 果たして、いつも輸入ワインを飲んでいる、
ピノ・ノワール好きの一般消費者はこのワインをどう評価するでしょうか。

 このワインをフラッグシップとして掲げるのであれば、
もっと大手としてのプライドを持って欲しい。
上記1.から3.までクリアした上で、
ブルゴーニュ、アメリカ、ニュージーランド等のピノ・ノワールと
本気で戦ってほしいと思う次第です。

 メルシャンだけが本気であると思われるのは
メルシャンはワインが本業のメーカーであること。
それに対して残りの3社はワインは副業のメーカーであるところが
このような違いになっているのではないかと私は考えます。

 どうも今回は大手批判ばかりになってしまいましたが、
もう1点、ちょっと気になるところがあります。

 それはバランス感覚にちょっと疑問を感じる
ワインライターの存在です。

 まだ無名のつくり手を多く取り上げるのに、
日本ワインをけん引している生産者のことを全く取り上げなかったり、
生産量が少なくてほとんど買うことができないワインばかり
雑誌で紹介したりといった活動に疑問を感じてしまうのです。

 書かれている内容についてはかなり深い取材をせねば書けないもので、
また、紹介するワインが美味しいことも事実だと思います。
ただ、雑誌を読んだ読者が買いたくても買えなかったときに
果たして日本ワインが素晴らしいということをどれだけ理解できるでしょうか。

 また、今まで取り上げていないけれども
入手しやすい優れたつくり手を紹介した方が
結果として日本ワインのファンを増やすことができるのではないかと
思うのです。

 日本ワインのファンを増やしたいと考えているところは
私とまったく一致していると思うのですが、
ほんのちょっとやり方を変えていただけないかと
思ってしまうのは私だけでしょうか。

 今回はちょっと過激なことまであえて書いてしまいましたが、
約10年力を入れて販売してきて、
未だにテイクオフできない、
日本ワインについて思うところです。

 これは、日本ワインの素晴らしさをより多くの人に知って欲しいと思い、
日本ワインを愛するゆえに書いたことです。
異論、反論があれば、よろしくお願いいたします。

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by bacchusmarket | 2012-01-10 20:01 | コラム