日本におけるワインの法制化について

久しぶりに書くにしてはちょっと硬いタイトルですが、
昨日出席した、日本ワイン造り手の会が主催したシンポジウムについて
ちょっと意見を書かせていただきます。

シンポジウムのタイトルは

「ワイン法を考える 日本ワイン発展のために必要な法整備は何か?」

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となってました。

内容は上記画像のとおり、
日本ワインの現状と諸外国のワイン法についてのお話があり、
メインは「日本ワイン発展のために必要な法制度は何か」
というパネルディスカッションでした。

ちなみに、主催の日本ワイン造り手の会とは、
日本ワイン生産者の勉強会だそうです。

いろいろなお話がありましたが、
私が受け止めることができた論点は2点。

一つは「国産ワイン」と「日本ワイン」の問題です。

これを読んでいるほとんどの方その違いが分からないと思いますが、
後者の「日本ワイン」は日本で収穫されたブドウから作られたワイン。
ふつう誰もがこれが当たり前だと思うでしょうが、そうはいきません。

「国産ワイン」は日本国内で醸造され、あるいはブレンドされ、
あるいはボトリングされたワインすべてを包括したものなのです。
つまり、輸入された果汁やワインから作られたものもすべて
日本で最終製品となれば「国産ワイン」となるのです。

「日本ワイン」も当然「国産ワイン」に含まれるのですが、
「国産ワイン」のおよそ5分の1に過ぎないとのことでした。

この点については日本ワイン応援団を自認している私も常々問題と思っており、
消費者にとって大変紛らわしいことになっています。

「国産」を選ぶ消費者は
食の安全性の点から輸入より国産を選んでいるであろうにもかかわらず
実は「国産ワイン」にも輸入原料が使用されているということになるわけです。

もちろん裏ラベルをよく見れば業界の取り決めにより、
輸入原料が含まれていることが分かりますが、
果たしてどれだけの消費者がそれを理解できているかというと
大変難しい問題であることがお分かりではないでしょうか。

さて、今回上記タイトルで久しぶりにブログを書かねばと思ったのは
もう一つの論点であるワイン法の制定についての議論です。

私は今年の4月に自民党がワイン法制定に動き出したニュースを聞いて
大変喜ばしいことだと思いました。

というのも、私が日ごろ商売で日本ワインを販売するにあたって、
数多くある困難の一つが
ワイン法の制定によって取り払われるのではないかと期待するからです。

私の店では、10年以上前から日本ワインに力を入れて販売してきましたが、
この1~2年、その甲斐あってか、
またメディアに取り上げられる機会が多くなったためか、
日本ワインの売り上げ比率がどんどん多くなっています。

その日本ワインを買うようになったお客様は以前何を飲んでいたかといえば
輸入ワインを飲んでいた方がほとんどです。
すなわち、輸入ワインを飲んでいる方に
日本ワインの良さを理解していただき、
飲んでいただくことになるのです。

そして、輸入ワインユーザーに日本ワインの良さを説明する際障害となるのが、
日本ワインのあいまいさです。

たとえば、北海道トラベルに大書きしているのに
醸造、ボトリングしている場所が山梨県だったり、
同じサイズかと思えば、
輸入ワインが750mlに対し720mlだったり。

また、製造面では補糖、補酸等についての規定がなかったり。

私が販売している輸入ワインのほぼすべては
それぞれの国や地域の法規制の中でつくっているにもかかわらずです。

しっかりとした法規制のもとにつくられたものを飲んでいるお客様に
何ともあいまいな商品をすすめなければならないのです。

今回のシンポジウムの全体の論調からして、
日本ワインはまだ黎明期であるから
それぞれのワイナリーが自由にいろいろな工夫をする余地を残すべきであり
法的に規制するのは時期尚早であるとの感触でした。

ここであえて造り手の会の皆さんからの反発覚悟で言わせていただきますが、
「そんなのんきなことを言っている場合ではない。」
ということです。

今、日本ワインには大変注目が集まりメディアからも取り上げる機会が増え、
テイクオフするのに最高のタイミングであると思います。
テイクオフするためにどうしても必要となることの一つが、
輸入ワインに正面から対峙すること。

このシンポジウムに出席されているつくり手の皆さんは、
問題意識の高い方ばかりなので、
つくったワインが売れなくて困っている方はほとんどいらっしゃらないのでしょうが
正面から輸入ワインと戦わずして
日本ワインの最終的な勝利はないのではないでしょうか。

輸入ワインと戦うためにもきちんと法整備をして、
海外から見ても恥ずかしくないワインをつくっていただければと
切に願う次第です。

ただ、法整備が政治家の手だけで行われるのは問題ありなので、
是非生産者からも代表者を送り込んで、
海外に誇れるワインができるワイン法を
つくっていただきたいと思います。
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by bacchusmarket | 2014-12-04 18:10 | コラム